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CLINICAL臨床

パーキンソン病の手術

パーキンソン病、本態性振戦、ジストニアなどの不随意運動は脳外科手術で治療することができます。定位脳手術という特殊な手術法を用い、当施設ではこれまでに200例以上の手術を行っています。そのなかで、最も多いのは、パーキンソン病に対するものです。

 

パーキンソン病の多くは中年以降に発症するため、社会の高齢化が進むとともに患者数が増加しています。代表的な症状として、振戦(手足などの震え)、固縮(筋肉の強ばり)、無動・寡動(動きが少なく動作が緩慢)、姿勢保持障害(体のバランスを保ちにくく転びやすい)がみられます。パーキンソン病の治療では薬物療法が第一選択肢ですが、薬を長期に服用していくと、薬の効く時間が徐々に短くなり、精神症状(幻覚・妄想)やジスキネジアなどの副作用・合併症が出現することがあります。このような薬物治療の合併症が出現し、症状コントロールが困難な場合、外科的治療が必要になります。

 

現時点では、パーキンソン病を根治させる治療法はありません。脳深部刺激法は薬物治療と同様に対症療法のひとつですが、わが国では2000年4月に保険適応になり、パーキンソン病治療の有力な選択肢の一つとして確固たる地位を築いています。

 

脳深部刺激を行う部位は、患者さんの症状によって選択されます。例えば、振戦は強いが他の症状は軽微な場合は、視床が標的神経核になります。また、薬物による不随意運動で困っている場合は淡蒼球が、そして無動・動作緩慢が主体のときは視床下核が選ばれます。脳深部刺激でのパーキンソン症状の改善度は各々の症例で違いますが、当施設の経験では概ね50~80%です。従来の神経核凝固術とは異なり脳組織を壊さないためより安全性が高いと言えるでしょう。また手術後に、患者さんの症状の変化に応じて、刺激条件を任意に変換することができることも利点のひとつです。

 

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