ホーム  とりあつかう疾患

Diseases to deal withとりあつかう疾患

内分泌脳神経外科

内分泌とは、体の調子を維持するのに必要なホルモンと呼ばれる物質を産生分泌することを指します。
脳では、脳下垂体と呼ばれる部分がこれに相当します。
当科は脳下垂体近傍にできる病気を外科的に治療する部門です。
脳下垂体は視神経の下にぶら下がっており、内頚動脈にはさまれて存在しています。
内頚動脈の近くには、眼球を動かす神経や、顔の感覚をつかさどる神経が走っています。

 

脳下垂体から分泌されるホルモンは、全部で8種類あり、それぞれに重要な働きをしています。
主なホルモンとその働きです。

成長ホルモン 体の発育や、筋力などを整えます。
乳汁分泌ホルモン
(プロラクチン)
妊娠中や産後に乳汁を分泌させる働きをします。
性腺刺激ホルモン 卵巣や子宮に作用して月経周期や排卵を調節します。
甲状腺刺激ホルモン 甲状腺に作用して、体の調子を整えます。
抗利尿ホルモン おしっこを出しにくくするホルモンです。

 

脳下垂体近傍にできる病気として最も多いものに、下垂体腺腫があります。
その他、ラトケ嚢胞、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫、下垂体炎、星細胞腫、髄膜腫などの疾患があります。
主に腫瘍のため、大きくなって周りの神経を圧迫したり、ホルモンの分泌を妨げたりします。
中にはホルモンそのものを産生する腫瘍もあり、さまざまな症状で気づかれます。

こんな症状の方いませんか?
  • 眼の奥がずきずきする
  • 最近視力が低下した
  • 視野の両脇側が見づらい
  • 最近筋力が低下した気がする
  • 最近性欲が低下した
  • 生理が不順
  • 人と比べて寒さに弱い
  • すぐに疲れる
  • 顔つきが変わったと人に言われる
  • 手足が大きくなってきたようだ
  • 最近落ち着きがない、いらいらする
  • 急に太ってきた

気づいたら、できるだけ早く病院に相談してください!

 

 

熊本大学における治療の特徴

経蝶形骨洞法という方法で手術を行うのが一般的です。上唇の裏を切開し、鼻の奥の骨を開放して腫瘍に到達します (図1)。
この方法は、1969年より取り入れており、現在までに約400例の手術を行っています。

最近、より侵襲の少ない手術法として内視鏡を用いた手術法が開発され、熊本大学でも2000年から独自の工夫をこらした内視鏡手術を行っています(図2)。鼻の穴から内視鏡を挿入し、最も奥の粘膜を小さく切開して腫瘍に到達します。したがって表面からは傷がわかりません。

図1 図2
図1 図2
内視鏡を用いると、術野がより広く見え、安全に腫瘍を摘出することができます。
術後の回復も早く、入院期間も従来よりも短くできます。
患者さんの体にできるだけ優しく、傷のつかない最新の手術法です。詳しくは脳神経外科外来にご相談ください。

 

 

熊本大学脳神経外科における下垂体腺腫の手術症例数