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埼玉医科大学国際医療センター脳血管内治療科への国内留学
- 2024.06.20 | 留学レポート
H25年卒の今岡幸弘です。
2022年4月から1年半、埼玉県日高市の埼玉医科大学国際医療センター脳血管内治療科にて国内留学をして参りましたのでご報告させて頂きます。
国際医療センターは、脳卒中の手術件数が年間700例を超える全国有数の脳卒中センターで、動静脈奇形の大家である栗田浩樹先生がセンター長を務められる施設です。そのため、国際医療センターといえばAVM・直達術、という印象が強いかと思いますが、実は血管内治療だけでみても年間300件を超える関東随一のIVR施設でもあります。
脳血管内治療科は、神山信也教授、飯星智史准教授(熊本出身)の御指導のもと、例年私のような外部施設生を1~2名受け入れて指導医に育て上げています。実働部隊は血管内専門医2名、自施設ローテーション修練医2~3名と少数構成です。週に4~6件の予定手術、3~5件の緊急手術、予定検査angio2~3件/日を週6日、これらを外勤者を除く数人でやりくりするので、予想に違わず多忙を極めますが、その分経験は積めます。私の場合は最初の1年で100例程の執刀、途中から飯星准教授が他施設教授に栄転されたため、残り半年間は比較的高難度症例の執刀のみ割り振られ30例ほど執刀、その他は基本的には非専門医や若手専門医の先生の手術指導をするよう言われて過ごす事となりました。タイミング的な要素ではありますが、短期間で自身の経験また他者への指導という2stepを凝縮して経験でき、また当時はまだ少なかったFlow diverterの実施医・Onyx実施医の資格等も早期に揃えて送り出して頂き、神山教授には感謝しております。
AVMに対しては基本的に外科とのhybridチームで加療が行われ、開頭術前に血管内チームがstaged embolizationを行います。自身が塞栓した後は、開頭術中に術野内での血管同定などを突然求められることもあり、栗田先生の覇気で失神しないよう注意しつつ、angioと術野を正確に照らし合わせた回答が必要になり、鍛えて頂きました。正直、多忙すぎて患者さんに迷惑をかけるギリギリのラインで仕事を回す時期もありましたが、仲間達に助けて貰いながら、楽しく過ごすことが出来たように思っています。
私生活では、帰宅時間が遅いことから家族に寂しい思いをさせることも多かったですが、週末には小江戸・川越に買い物に出たり、都内で食事にも行きました。夏には軽井沢の澄んだ空気に癒され、富士山を眺めながら河口湖でのグランピングや群馬の山奥にキャンプにも行きました。頭文字Dの聖地・箱根の峠をAT車攻めてみたりと思い返せば色々と充実していたように思います。嫁曰く、ディズニーランド日帰りも全然余裕とのことで、何だかんだ振り返ってみれば家族としてのプライベートも満喫していた気がします。支えてくれた家族に感謝です。
初めて栗田先生にご挨拶に伺った際に、西先生には今でも非常にお世話になっていること、武笠先生との東大での繋がりなど楽しそうにお話しして下さり、最後に”全面的にバックアップします”と笑顔で迎えて下さいました。また、最後に私が埼玉を去る直前にはご家族も交えた食事会にもお誘い頂き、留学期間を通して大変良くして下さいました。これもひとえに熊大の先人の先生方が築いて下さった繋がりのお陰かと思います。この場を借りて感謝申し上げます。国際医療センターには杏林大学・日本大学・日本医大・防衛医科大学・関西医科大学、はたまたセルビアやスペインなど外部施設から若手・中堅が自主的に年単位で勉強に来ています。私自身も埼玉にて沢山の仲間・繋がりができたので、この縁を大切に今後もお互いを助けあえる関係でいられたらと思います。
今回は、人手不足の中、私にこのような経験の機会を頂き、武笠先生はじめ医局の先生方に心から感謝いたします。今後は熊本に還元していけるよう、精進致しますので引き続き宜しくお願い致します。